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9月入学制度

トロフィー工房のhirominです。 先週、当ブログで書きました内田篤人(日本代表・シャルケ04)くんは、今週4日(月)に、ドイツへ出発しました。次、帰ってくるのは、実質、W杯予選直前試合になるのでしょうか。キリン杯、韓国戦(札幌ドーム)が8月10日ですね。いつものことながら、ハードスケジュールでたいへんですが、帰ってきてくれるのは、うれしいです。 ヨーロッパは、冬の寒いときに向かってリーグ戦がはじまるのですね。いわゆる秋始まりなんですね。日本では、春始まり。夏にシーズン真っ盛りを迎えます。アントラーズの伊野波くんも、先日、クロアチア1部リーグの強豪ハイデュク・スプリトに移籍しましたが、アントラーズは今シーズン、王者の名にふさわしくなく、非常に苦戦を強いられておりまして、伊野波くんは、そのj1シーズン半ばで抜けざるを得ないことになってしまったわけです。 秋始まりと言えば、東京大学が、このほど9月入学を検討していることが話題になっております。欧米の大学では、9月入学が一般的で、日本の大学との入学時期のずれが留学を阻害する要因となっているというのです。入学時期を、ヨーロッパやアメリカの大学と合わせることで、留学生の受け入れや、東大生の海外留学を促進するのが狙いだそうです。 何でもグローバル化を推進していくことは時代の流れではあるし、そのこと自体は間違っていないと思います。そもそも、なぜ年度始まりが4月なのか。そんなこと今まで考えたこともないほど、日本人には桜の開花期と相まって、4月が当たり前になっているので、ここの意識を切り替えないといけないということですね。 江戸時代などは、学校というより、今の塾のようなものしかなかったのだから、年中いつでも入学できたんでしょう。それがちょっと進んで、今の学校の原型ができるころ、このころから、日本には、制度をつくるという発想がなかったのでしょうか。欧米の制度を取り入れて、元々は9月入学だったようです。 これが4月に変わったのは、明治19年。学校と陸軍の人材獲得競争ですって。陸軍の入隊届開始日が4月に変えられたので、高卒者が陸軍に流れるのを阻止するために学校も入学は4月にしたそうです。また、国の会計年度も4月始まりになったので、県や国の補助金をもらって運営している学校、つまり師範学校(今の国立大学)は4月入学となったようです。いずれにしても、学校の主役であるはずの学生には全く関係ない、お役人とか、軍人とかの都合に合わせて4月入学になったということのようです。 そして、今回、これを再度9月に戻そうというわけですね。またまた?上っ面だけで、わたしにはこの制度、全く理解できません。入学は秋なのに、入試は従来通り、高校の卒業時期に合わせて春に行い、合格から秋に入学するまで約半年間は、留学やボランティア活動をするそうです。卒業は原則4年後の秋だそうです。 こんなこと、考えなくたって、実現不可能と言うか、長続きしないのはすぐわかります。要するに、留学のためだけに入学時期をずらすということ。空白の半年間は、受験が終わってホッとするんだから、通常は勉強に気が向くはずもない。いざ9月、本番が始まったとしても、いったん落ちたテンションはそう簡単には上がらず、大学の4年間をも無駄にしてしまう、わたしの経験上、90%の学生がそうなると思いますが、そこは天下の東大生なので、もう少し確率は低いかもしれませんけど、普通はそうでしょう。 以前も書きましが、日本の教育の最大の欠点は、“入りにくく出やすい”ということなんです。どういう日本人を育てたいかというビジョンに基づいて、幼稚園や小学校のころから、徹底して教育、啓蒙して、自我に目覚める中学や高校のころには、自分の希望のとおりの大学に挑戦させて、そのスキルを取得するまで卒業させない。これが抜本的対策なのであって、9月入学も良いとは思うけど、これはあくまでも枝葉の問題なんですね。ここだけ変えたって、また、現場の教師や、実際受験する学生が魚竿して振り回されるだけなのではないですか。就活だって、東大生だけ別枠なんですか。ありえないと思います。 「高校授業料無償化・就学支援金支給制度」「高速道路無料化」それから、「八ッ場ダム」どうなった?「普天間移設問題」……この東大9月入学制度をネットで読んだとき、これら民主党のマニュフェストに記された重要な政策たちを、わたしは思わずにはいられませんでした。日本は地震大国。東日本大震災は想定内ではないんですか。地震で地面が揺らぐのは天災なんだから仕方がないです。でも、地震とこれらの重要な政策は何の関係もないのに、なぜこんなにぐらぐら揺れているのでしょうか。全くばかばかしい。絶望感に打ちひしがれます。ほんとうにいい加減にしてほしいです。 教育だけは、お金がないからといって、省略できるものではないのです。まして、一部の者の利潤追求に利用されるものでは絶対ないです。子どもが生き生きと学ぶことができる、子どものための気高い教育制度が、日本にできることを願ってやみません。 トロフィーのご用命はトロフィー工房まで。