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水が器に従うように

トロフィー工房のBillie Jeanです。

先週は、ポール・マッカートニーの三度目の結婚について書きましたが、本日書かせていただく、この方も、生涯結婚を三回いたしました。今年のNHK大河ドラマのヒロイン、徳川秀忠夫人、お江さまです。上野樹里ちゃんは、特別好きではないのですが、同じく大河で、あれは1989年の放送だったのでしょうか。故大原麗子さん主演「春日局(原作・脚本 橋田壽賀子)」を見ていたわたしは、今年の「江~姫たちの戦国(原作・脚本 田渕久美子)」を見て、江のイメージががらりと変わりました。あくまでも史実は不勉強ですが、二男国松を依怙贔屓して、福や、わが子なのに竹千代をかわいがらない、ヒステリックおばさんとばかりおもっておりましたが、なかなか気高い、強かな、こんなにいい女だったのですね。

戦国時代の女性というと、ねねや茶々、もちろん福、珠子(細川ガラシャ)。こういう方々から比べると、江は、歴史上、あまりスポットライトを浴びることがなかったようにおもうのです。しかしながら、この江は、信長が伯父、秀吉が義兄、家康が義父に持ったというだけでも、まるでドラマを地で行っており、戦国時代、いち早く滅んだ浅井の血を、徳川氏のなかに生き続けさせた……よくよく考えてみれば、戦国武将誰にもましてたくましい女性だったということになります。

お生まれは、近江。琵琶湖の畔、小谷城の主、浅井長政が実のおとうさんです。おかあさんは、信長の妹、市。この方も、当時のミス日本というべき絶世の美人で知られています。一番上のお姉ちゃん、茶々も、このおかあさんに勝るとも劣らぬ美人だったのですね。でも、江は、いまいち。二番目のお姉ちゃん、初と三姉妹の中でも、比較的不器量で、テレビの演出ではお転婆のように描かれております。もう、この辺から親しみがわくではありませんか。

物心つくかつかないかのころに、信長に攻められ、お父さんは自刃。擁護者、信長も明智光秀に殺され、おかあさんが柴田勝家に再婚し、越前に行くも、今度は秀吉に攻められて、義父勝家は敗死。おかあさんも勝家に従って自殺。両親を失って、戦災孤児となった三姉妹は、秀吉の人質として、安土城へ。

三姉妹の中で、最初に縁があったのは、結婚にはいちばんふさわしくない、もう少し未成熟な、江。お相手は、おかあさん、市の姉の息子、つまり江とは従兄にあたる尾張の小大名、佐治一成。秀吉の政治的目論見はあったといっても、だれがどう見たって、秀吉の茶々への邪心見え見えです。この後すぐ、二番目の姉、初の縁談もまとめ、茶々から妹たちを厄介払いして、おもむろに茶々を手に入れようとしたのです。そんな秀吉の魂胆を知ってか知らずか、大野城での新婚生活は、なかなかの幸福だったといいます。夫、佐治一成の愛撫に育まれて、小娘、江は、見違えるようないい女に変身を遂げるのです。

そして、そんな美しく成熟した江を、また、秀吉が舌なめずり……秀吉このころは、茶々を手に入れて、秀頼もできているのに、めちゃくちゃやです。関白さまと肩書はご立派でも、ただのセクハラおやじ。もちろん茶々が許すはずもなく、かくして江は、本人の知らぬ間に離婚させられ、有無を言わさず、秀吉の甥、羽柴秀勝の妻にされてしまいます。二度目の結婚。二人の間に女の子、定が生まれますが、夫、秀勝は、朝鮮戦役に出陣し、戦没。

このころは、さすがにセクハラおやじ秀吉も、老齢だったので、自ら手を出すということはしなかったのでしょうか。次の江の嫁入口は、ライバル家康の息子、秀忠。江は、このとき、23歳。×2の中古マダム。秀忠は、たった17歳の少年です。この組み合わせどう見たって、無理からであり、やはり秀吉の思惑がプンプン臭います。ようするに、家康本人ではなく、息子の秀忠にというところが、江をライバルにくれてやるのは惜しかったということなのでしょうか。

実は、大河ドラマは、この秀忠登場のころから見ました。向井理さん、ちょっとかっこいいですな。またまた性懲りもなく、ベビーフェイスに弱いわたしは、向井さん見たさに、今年の大河後半を見ていましたのだ。

関ヶ原、大阪の陣 茶々の無残な死。まさにそれと引き換えに、江は、将軍御台所、いわゆるトップレデイにのしあがるのです。なんでもありの、ただ権力に振り回されているだけといっても、結局、天下統一のための重要な任務を果たしているのです。ただヒステリックの、わがままの、アホな女だったとしたら、たとえ身分があっても、政治的目論見があったとしても、こういうことを求められもしなかったとおもうのです。こういうことを求められるだけのスキルがあるひとだった、ということがいえると、わたしはおもうのです。

江と秀忠夫婦。これはカカア天下だったでしょう。妻、江に権限があったとおもいます。それは、秀忠にそうさせるだけの、江はいい女、魅力があったのです。秀忠の側室の少なさから言っても、実際に不貞はあったのでしょうが、秀忠は江に細心の気遣いを払ったといいますから、いい夫婦であったことの証です。

お子さまも、たくさん生まれました。それだけでも十分偉いですわ。子育てにおいても、わが子を偏愛するようなひとではなかったとおもわれます。春日局との確執は、元々乳母が生母に勝てるはずもなく、子どもは生母を恋い慕うもの。確執は、乳母の生母に対する嫉妬がなした業だったというのが真相のような気がします。

春日局が“動”なら江は“静”。春日局が “火”ならば江は“水”。数々の不幸な運命に御弄されながら、ノイローゼ、うつ病 発狂もせず、水が器に従うように、淡々とそれぞれの境遇にたえてきた江。尊敬すべき女性です。

さて、今年も、もうすぐおしまいです。いつも追いつめられて、なんのの余裕もない、ぎりぎりの一年でした。これしきりの良いことのなさは、江さまをおもうと、恥ずかしい限りです。これが、わたしの年内最後の更新です。一年間ありがとうございました。東日本大震災、紀伊半島で台風12号の豪雨に被災されたみなさまのお幸せをお祈りいたします。HAPPY NEW YEAR!

トロフィーのご用命はトロフィー工房まで。

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